ごくせんというドラマがありますな。
以前付き合っていた女性がこのドラマが好きで、土曜の夜になるとテンションが上がっていた。面白いから一緒に見ろと言われ、一度だけ見たがそれはそれは素晴らしいドラマだったので二度と見ることはなかった。
うちの兄もこのドラマが好きだ。わざわざ録画してまで見ていた。
「おいお前!これのどのへんがおもしろいのか言ってみろ!」
とジャギ様よろしく問い詰めたが、明確な答えは得られなかった。
好みは人それぞれ。しかし、僕には「Nakama Yukie」が大好きだという知人がアメリカ&デンマークに1人ずついるが、 Trickは勧めてもごくせんは勧めないようにしている。
今日は別にごくせんの話ではない。
ごりせんの話だ。
「ごくせん」というのは極道の先生、略してごくせんだが、
「ごりせん」というのはゴリラ似の先生、略してごりせんだ。
ごくせんは荒れる高校の問題児たちに囲まれる女性高校教師だが
ごりせんは伊賀市の農村部の公民館でそろばんを教えていたジジイである。
僕は小学校2年から卒業までそろばん塾に通っていた。塾と言ってもボロボロの公民館の二階に、折りたたみ式の長い座卓を並べてあるだけだ。
毎週木曜と土曜、同級生たちとそこに行ってそろばんをはじく。
ごりせんは椅子に座っていつもしぶい顔をしている。
僕らはふざける。そろばんそっちのけでふざけ、ファイナルファンタジーの話とかミニ四駆の話を始める。
するとごりせんは言う。
「エンジン入れなあかんな。」
ごりせんは少年の口に手を持っていき、ひょうきんな声でこう言う
「何発ですか~?」
少年は答える
「むげん!」
ガキは、何かにつけて「無限」という最大数字が好きである。
するとごりせんは、
「ブルタタブルタタブルタタ♪」 と言いながら、肩を揉んでくれる。
何発というのは何が何発なのか未だ謎であるし、ブルタタという音が何の音なのかも不明だ。
しかし、これはそろばん塾好例の儀式で、みんなは喜んで、この少年に対するわいせつ行為ギリギリのマッサージを受けていた。あんま覚えてないがちんことかつつかれた記憶もある。
ごりせんは本当に愛された老人であったが、あの人はもしや、ショタコンのジジイだったのではないか・・・成人してからそう考えたこともある。
そんなごりせんから、なぜか突然電話がかかってきた。最後に話したのから10年くらい経っている。
「●●君ですか?元気にしていますか?」
おそらく80前後の年齢と思われるごりせんは、非常に明瞭な言葉使いで話してきた。
ごりせんは、一人一人の生徒の名前をしっかり覚えていたし、僕が忘れかけていたような事も全部覚えていた。僕は、みんなの近況を報告した。ごりせんは興味深そうに聞いていた。
「君はあの頃とは違って紳士的になってる。でも私はね、君は本当はしっかりした人間やと昔から思ってましたよ。」
それ以上に僕はごりせんの紳士的な話ぶりにびっくりした。あと、その記憶力。暗算のプロではあったが、やはり脳の活性度がハンパないのだろう。80を前にした人間の口調とは到底思えなかった。
やはり、ちんこ触ってきたりしてふざけてたのは、ガキが面白がるツボを心得ての道化っぷりだったのだ。
しかし、なぜ突如として僕に電話をし、あの頃の生徒達について尋ねてきたのか。
暗い想像をしてしまった。何か、命に関わる状況にいるのかもしれない。
そんな事を考えた僕に、ごりせんは尋ねてきた
「ほんで、
女の子といっぱいS●Xしてるか?はははははは! 」
その後、ごりせんのエロトークは止まらず、老紳士はどこかへ消えた。
一体、何を聞きたかったんだ。ごりせん。
これを読んでる伊賀市某村の某そろばん塾卒業生、ごりせんが会いたがっていた。
エロトークを手土産に会ってやってほしい。
できればバイ●グラあたりも持参してやってくれ。
でも、どうせ歳をとるならああいうジイサンになりたいものだ。